2009年度 談話会

11月17日(火曜日)16:30〜,  於 16号館119, 129号室

『ガンマ線時間測定の進歩が見せるポジトロニウムの物理』

講師:斎藤晴雄氏(物理部会)

講演要旨:時間測定は画像測定と比べて単純なようであるがしばしば奥深い情報を与えてくれる。ポジトロニウムに関しては消滅ガンマ線の時間情報を読み取ることでその状態や反応に関する知識が得られる。本講演ではまず講演者によるガンマ線時間計測法の改良[1]について述べた後、それによって可能になった研究として、非局在ポジトロニウムの寿命の直接測定[2]およびスピン軌道相互作用によるポジトロニウムのスピン転換の発見[3]について紹介したい。

[1] H. Saito et al., Nucl. Instr. Meth. A 487, 612-617 (2002).

[2] H. Saito and T. Hyodo,  Phys. Rev. Lett. 90, 193401-1-4 (2003).

[3] H. Saito and T. Hyodo, Phys. Rev. Lett. 97, 253402-1-4 (2006).


9月30日(水曜日)16:30〜,  於 16号館119, 129号室

『光子を用いた量子回路の実現と展望』

講師:竹内繁樹氏(北海道大学 電子科学研究所 教授/大阪大学産業科学研究所招聘教授)

講師紹介:講演者の竹内氏は、三菱電機先端技術総合研究所に在職中に線形光学素子を用いた量子計算の研究を始められ、現在まで日本の量子計算の研究をリードされている研究者の一人です。2005年に上程されたブルーバックス「量子コンピュータ」では量子計算の基礎から最先端の研究までを「高校生にもわかるように」説明されており、本講演でも、現在進められている研究を専門外の方々にも分かりやすくお話ししてくれることと思います。

講演要旨:量子力学の基本的な性質を直接情報処理に応用する、量子情報技術が注目されている。量子情報の担体の中でも光子は長距離伝送が可能でかつ高精度での状態検出が可能という特長をもつ。本講演では、この光子を用いた量子情報通信処理に関し、我々の、複数の量子ゲートを組み込んだ、光量子回路の実現[1]と、その量子メトロロジーへの応用[2]に関する研究について紹介する。

[1] Okamoto et. al., Science, vol. 323, 483 (2009).

[2] Nagata et. al., Science, vol. 316, 726 (2007).


6月23日(火曜日)16:30〜, 於 16号館827号室

『コンピュータ将棋とコンピュータ囲碁の最近の進歩』

講師: 金子知適氏(東京大学総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系)

講師紹介:チェス、将棋、囲碁などのボードゲームのコンピュータプログラムの研究は、1996年、1997年 カスパロフ(チェスチャンピオン)vs.DEEP BLUE(チェス専用コンピュータ)2007年     渡辺明竜王(将棋プロ棋士) vs. ボナンザ(将棋ソフト)などの対戦のたびに社会的にも大いに注目を集めてきました。将棋については近年ハードはもちろんのことソフトの進歩が著しく、あと何年でトッププロに追いつくかが話題となるところまで来ています。またコンピュータ囲碁についてもモンテカルロ法を取り入れる手法により、最近急速に進歩しています。今回の談話会ではコンピュータ将棋、囲碁に関する現状とご研究の成果について広域システムの金子知適氏にお話しいただきたいと思います。

講演者の金子氏は情報科学を御専門にしている方で、先月行われた世界コンピュータ将棋選手権において「GPS(game programing seminar)将棋」をチームリーダーとして率い,優勝に導かれました。その様子は、朝日新聞、NHKBS放送、将棋専門誌でも取り上げられています。

講演要旨:計算機にとっての今の各種ゲームの難しさやゲーム木の概念を簡単に説明した後、近年の大きな技術的進歩である、囲碁: モンテカルロ木探索,将棋: プロの棋譜からの形勢判断の機械学習,についてご紹介したいと思います。チェスでDeepBlueが活躍した時代には、プログラマがゲームの知識を手で注入する部分のさじ加減が強さを大きく左右していました。現代ではその部分が機械学習で置き換わりつつあり、機械学習研究の応用先として興味深い分野になっています。



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